はじめに
最近、ニュースなどで「原油価格の高騰」や「石油元売りの再編」といった話をよく耳にしますよね。
そういえば、ガソリンスタンドでおなじみのENEOSや出光興産と、CMなどでたまに見かけるINPEXって何が違うんだろう……と思い立ちました。
どちらも同じ「石油」を扱っているイメージがありますが、調べてみるとやってることが全く違っていて面白かったので、今回はその違いや日本の石油の調達事情についてざっくりまとめてみました!
結論
先に結論から言うと、この2つのグループは石油ビジネスの「上流(採掘)」と「下流(加工・販売)」で担当エリアが完全に分かれています。
- INPEX・JAPEX:地下から原油やガスを掘り出す「開発のプロ」
- ENEOS・出光・コスモ:届いた原油をガソリン等にして売る「精製・販売のプロ」
そして、ENEOSなどの元売り企業が買っている原油の約95%は中東の国営石油会社から直接輸入しており、INPEXから買っている分はごくわずかです!
各社の違いと役割(上流 vs 下流)
石油ビジネスは大きく「上流」「中流」「下流」に分かれています。
それぞれの役割を簡単に整理すると以下のようになります。
| 区分 | 主な企業 | やっていること | 主な取引相手 |
|---|---|---|---|
| 上流(開発・採掘) | INPEX JAPEX | 地下や海底から原油・天然ガスを探し出して掘り出す | 製油所、電力・ガス会社、海外市場 |
| 下流(精製・販売) | ENEOS 出光興産 コスモ石油 | 原油をガソリンや灯油に精製し、GSなどで売る | 一般消費者、運送会社、化学メーカー |
※(めちゃくちゃ雑な例えですが、農家(INPEX)が野菜を収穫して、スーパー(ENEOS)がそれを加工・パック詰めして消費者に売っているようなイメージです!)
ENEOSたちはどこから原油を買っているの?
「じゃあENEOSはINPEXから原油を買ってるの?」と思いがちですが、実は違います。
日本の元売り企業が購入している原油の割合は、ざっくり以下のようになっています。
購入先の割合(イメージ)
- 中東の国営石油会社(サウジアラムコやADNOCなど):約90〜95%
- 中東以外の海外産油国(アメリカや南米など):約3〜8%
- INPEXやJAPEXからの購入分:約1〜2%未満
実は、日本で使われる原油の大部分(9割以上)はサウジアラビアなどの中東の国営会社から直接爆買いしています。
INPEXからの調達が少ない理由は、INPEXが掘っているものの多くが原油ではなく「天然ガス(LNG)」であることや、海外で掘った原油も現地の国際市場でそのまま他国へ売却されたりするためです。
INPEXの規模感と世界シェア
では、INPEXは世界の中でどれくらいの規模なのでしょうか?
2024年12月期のINPEXの年間生産量(原油:1.40億バレル / 天然ガス:4,755億立方フィート)をもとに、世界シェアを計算してみました。
- 原油の世界シェア:約0.40%
- 天然ガスの世界シェア:約0.33%
- 合計(油等換算):約0.36%
「えっ、1%未満なの?」と思うかもしれませんが、石油業界はサウジアラムコのような国の巨大企業や、エクソンモービルのような超巨大メジャー(シェア2〜3%程度)が牛耳る世界です。
その中で独立系・日本企業として全体の0.4%近くを1社で担っているのは、世界的に見てもかなり大きな存在感と言えます。
もしINPEXの生産量をすべて日本に回したら?
仮に「INPEXが1年間に世界中で掘り出したエネルギーを、すべて日本国内の消費に充てた」とすると、どれくらい賄えるのかも試算してみました。
- 原油:日本の消費量の約11.5%(約1.1ヶ月分)
- 天然ガス:日本の消費量の約12.5〜13.5%(約1.5ヶ月分)
- 全体(油等換算):日本の年間消費量の約11.5%
ほぼ化石燃料が出ない日本において、単一の企業が国内需要の1割強を1社でカバーできる生産能力を持っている計算になります。エネルギー安全保障の面でも、実はめちゃくちゃ重要な役割を果たしているんですね。
おわりに
なんとなく「日本の石油会社」と一括りにしていたENEOSとINPEXですが、ビジネスモデルも主戦場も全く別物なのが分かってスッキリしました!
特に、INPEXは「日本のために原油を掘ってくる会社」というよりは、世界市場でエネルギーを売り買いして稼ぐ「グローバルな資源開発企業」という側面が強いのが興味深かったです。
ガソリン代のニュースなどを見るときも、この「上流と下流の違い」や「中東依存度の高さ」を知っておくと、業界の動きがより面白く見えてくるかもしれません!
